6月 9, 2010 - 法律    No Comments

取引先企業との裁判を考えたときに知る必要がある基本的なこと

逮捕何か相手からされて、どうにかしたいと思ったとき。
自分ではどうにもならないので、法律でどうにかしてほしいとき。

できることは二つです。

自分にお金や物、権利が返ってくることで解決できるなら民事裁判です。
相手が逮捕されたり、罰則を国から出してもらって解決できるなら刑事裁判です。

民事裁判はお金や物、権利「自分に」返ってきます。*1
刑事裁判は治安「国に」戻ってきます。
※刑事は国が犯罪行為を罰するためのもので、お金や物、権利などは自分に返ってきません。

民事も刑事もどちらか1つ選ぶということではなく、両方できます。 *2

誰が手続きや調査を行うの?

  • 民事は始めから最後まで、すべて自分でできます(しなければなりません)。弁護士に頼むこともできます。(頼まなくてもいいです)裁判に勝っても、お金の場所や物・権利のありかをこちらで調べなくてはなりません。
  • 刑事は「あの人はきっと犯罪者です。だから国によってどうにかして下さい」と言うことまでで終わりです。そのあとは検察が裁判所とやりとりします。*3

裁判所はどんなふうに解決してくれるの?

  • 民事はグレーで曖昧な部分にも判断を出してくれます。裁判所が「双方の意見を聞き、法律に照らし合わせて考えてみたところ、○○円と▲に対する■の権利はこちらのものにします。ただし、凸凹に対してはそちらのものとします」というように。*4
  • 刑事は白黒つけます。犯罪者かそうでないかだけです。疑わしいだけでは逮捕も何もされません。

裁判にはどのくらい費用がかかるの?

  • 民事を自分ですべて行うには裁判所への手数料となる印紙と郵便を出すための実費を払います。裁判に負けると、上記自分の払ったものに加えて相手の出した印紙代等も払うことになります。
    弁護士に頼むと、着手金と成功報酬と上記実費と遠方の場合は交通費や宿泊費などがかかります。裁判に負けると着手金と実費と前述した訴訟費用を払うことになります。
  • 刑事にお金はかかりません。告訴状を書いてもらうのに弁護士を通した場合のみ費用が発生します。事件性が認められれば、税金で警察・検察が動いてくれます。

刑事について少し補足です。
刑事で告訴が受理されるか分からなくても、被害届は出すことができます。
被害届で実際に捜査される望みはとても小さいかも知れません。
ですが、他に何人も同じような被害の方がいた場合には、事件解決の手助けになるかも知れません。

その他、公的機関にも苦情を蓄積できる場所があるので、そういったところへ事の顛末を申し出ておけば被害拡大を防げるかもしれません。

  1. 厳密にはお金、物、権利がどこにあるのか分かっていないと取り返すことができません。
    ないものをないところからはとれないからです。
    裁判所は「お金、物、権利を相手から取り返してもいいですよ。とお墨付きを与えてくれますが、実際にそれがどこにあるのか分からないとだめなんです。
    銀行の場合、片っ端から「○○銀行様、御社にこの相手の口座はありますか?
    もしあったら、裁判で勝ち取った金額まで私のものです。」と裁判所をとおして郵便を出します。するとお金が入っていれば返してくれます。
    なければ「ないよー」という通知だけが来ます。相手の勤め先や売掛け先なども同じです。さらに住所や携帯番号、取引口座などを調べたいときは文書送付嘱託という手続きで裁判所が認めるかぎり相手の情報を調べることができます。 []
  2. 起訴・告訴には期限があります。 []
  3. 刑事告訴は訴えた人の意見や証拠だけをもって「それでは捜査してみます」とはなりません。すべての案件を捜査していては人もお金も足りないからです。また、もしかすると訴えた人が間違っているかも知れないからです。
    そのため実際には、できるだけ弁護士を通して告訴してもらうことを勧められます。そうすることで「捜査するだけの価値」を担保させているようです。
    私も実際に警察に行ったときに刑事課で話をしましたが、「管轄以外で話をしても仕方ないこと。告訴状を書いて出さない限り、話だけをもって告訴を受理できないこと。」を言われました。
    クレーマーなのか、痴話げんかなのか分からないので、ほんとのところを弁護士を通してふるいに掛けているのでしょう。
    また、これは私が感じたことなのですが、刑事課で担当する方によっても違ってくるとは思います。警察は検察とは違いますので、法律用語やその案件がどんな罪名にあたるのかなど詳しく知り得ない立場です。
    そのため本当に適切な解決策は得られません。今回は実際に得られませんでした。「弁護士を通して」と言われるだけです。 []
  4. 不服があれば「もう一度考えてよ」と裁判所に訴えることもできます。しかし妥当性がなければ、「いえ、これで決まりです」と裁判所に拒否されることもあります。 []

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